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自社ECが売れない時、まず見るべき3つの数字


自社ECが売れない時、まず見るべき3つの数字
──施策に走る前に“現実”を直視せよ

【はじめに】
「アクセスはあるのに、売れない」
「SNS頑張ってるのに、売れない」
「リニューアルしたのに、売れない」

──そんなとき、何を最初に見直すべきか?

施策を打つ前に、広告を回す前に、ツールを入れる前に、まず“見るべき数字”が3つあります。

この3つが見えていない状態で改善を試みるのは、いわば地図を持たずに登山するようなもの。
本記事では、「自社ECが売れない」時に最初にチェックすべき3つの数字と、それぞれの意味、改善のヒントまでを解説します。

第1の数字|セッション数(=来訪者数)

▶ そもそも人は来ているのか?

いきなり「売上」を見て嘆くのは順番が違います。
まず見るべきは「流入」です。ここがゼロなら、CVRや商品力を論じるステージにすら立っていません。

セッション数の目安
・商材単価が1万円以下:月間最低5,000セッションは欲しい
・単価が高め(3万〜10万円):月間1万〜2万セッションでようやく勝負が見える

確認すべきポイント
・どのチャネルから来ているか?(自然検索/広告/SNS/リファラルなど)
・どのページから流入しているか?(TOP?記事?広告LP?)

改善アクション
・SEO記事の本数と設計は十分か?
・SNSは流入導線を張れているか?
・広告の出し方はターゲティングされているか?

「そもそも土俵に人がいないECサイトに、改善の余地はない」

第2の数字|CVR(=コンバージョン率)

▶「買ってくれる人の割合」は何%か?

人が来ているのに売れない──ここでようやく「売場の質」の話になります。
CVR(Conversion Rate)は、ECにおける“現場力”そのもの。

業界平均(目安)
・通販系・健康食品など:1.0〜3.0%
・アパレル系:0.8〜1.5%
・中古品・高単価商品:0.3〜0.8%
・自社EC全体平均:0.5〜1.0%

CVRが低い原因あるある
・商品説明が薄い or 嘘っぽい
・レビューがない(信用が育ってない)
・商品ページまでたどり着きづらい
・カート画面がごちゃついている
・クーポン・特典がないのに高い
・比較ができない(選びづらい)

改善アクション
・ヒートマップ・CVRファネルでどこで離脱してるか見る
・商品の「WHY(なぜこれ?)」を1スクロール以内に明記
・カート導線は1クリックでたどり着けるか再確認
・信頼の要素(レビュー/保証/権威づけ)は足りてるか

CVR改善とは、顧客の「疑い」を1つずつ潰す作業に他なりません。

第3の数字|商品別の購入率 or カート率

▶ 売れている商品は、どれか?
(=売れないのは“どの商品”か?)

アクセスもある。CVRも一定ある。それでも「売上が足りない」とき、真犯人は商品単体の力です。

見るべきポイント
・TOP3商品の売上構成比(偏りすぎてないか?)
・商品別のCVRが著しく低いものは?
・同価格帯の中で突出して売れてないものは?

ManyC流の改善視点(バイヤー視点から)
・商品写真の見せ方に違和感はないか?
・LPに「買いたくなるストーリー」はあるか?
・ターゲットが絞れていない商品はないか?
・他社の類似商品と比較して、明確な違いはあるか?

【おまけ】それでも売れないときに見る“+α”の数字

数字 何を示しているか 主な改善案
ページ滞在時間 興味の強さ コンテンツ追加/順序最適化
直帰率 第一印象 ファーストビュー改善
カート放棄率 購入直前の離脱要因 決済・送料・購入導線の見直し

【まとめ】数字は「気合で頑張る」をなくすための道具である

数字を見ること=感情を手放すこと という考え方です。

「頑張ってるのに売れない」
「SNSたくさん更新してるのに…」
「広告費けっこうかけてるのに…」
この“感情ベースの頑張り”から抜け出すには、数字しかありません。

3つの数字、もう一度整理します

  • セッション数
    → 人が来ていなければ、改善以前の問題
  • CVR(サイト全体 or 商品別)
    → 売場の力、訴求力、信頼性を測る指標
  • 商品別カート率 or 購入率
    → 商品そのものの“選ばれる力”を可視化

ManyCのスタンス

「売れない理由」をツールや代理店のせいにしない。
本質はいつも、数字が教えてくれる。

数字が見えれば、打ち手が明確になる。
打ち手が明確になれば、チームの会話も変わる。
チームの会話が変われば、事業は動き出す。

「まず見るべき3つの数字」──これは、EC担当者の“再スタートボタン”です。

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