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VSOP理論で読み解く、キャリアとビジネスの“熟成度”――20代から50代、あなたは今、何を積むべきか?

VSOP理論で読み解く、キャリアとビジネスの“熟成度”
――20代から50代、あなたは今、何を積むべきか?

「VSOP」とは何か?

VSOPと聞いて、まず思い浮かぶのは高級ブランデーかもしれません。
ただここで語るのは、お酒ではなくキャリアの“熟成工程”。

下記のように、人生のフェーズとキャリアの積み方を照らし合わせた構造です。

フェーズ 意味 説明
V(Vitality) バイタリティ 20代:体力・気力勝負の時期。とにかくやってみる
S(Speciality) スペシャリティ 30代:得意領域を見出し、尖らせる
O(Originality) オリジナリティ 40代:専門性に独自性を掛け合わせ、差別化へ
P(Personality) パーソナリティ 50代:人間性とリーダーシップ、人格で信頼を得る

この理論、ただのキャリア論では終わりません。
「組織」や「事業」「ECの成長フェーズ」にもそっくりそのまま当てはまります。

1|20代=Vitality:行動の数が人生の資産になる

「V=バイタリティ」の本質は、“やるかやらないか、ではなく、とにかくやる”という意思決定。

  • 失敗しても評価されない時期だからこそ、何でも飛び込む
  • 事前に向き不向きはわからない。まずは体験する
  • パッション・スピード・吸収力で勝負する

EC文脈で言えば、これは新規事業フェーズにそっくりです。

  • 検証回数が正義
  • 完成度より、リリーススピード
  • 粗削りでも、まず市場に出す

つまり、自分というビジネスを立ち上げる時期が、20代のVなのです。

2|30代=Speciality:専門性を“見つける”のではなく、“育てる”

30代になると、次のフェーズは「S=スペシャリティ」。

  • 経験の中から「武器にする領域」を見極める
  • 市場のニーズと自分の得意を重ねる
  • “なんでも屋”から“◯◯のプロ”へ

ここでよくある誤解が、「Sは最初から見つけるもの」という思い込み。
でも現実は違います。Vで蒔いたタネの中から、育ちそうなものを育てていく感覚がSです。

ECでも同じ。

  • すべての商品を売れるわけではない
  • すべてのチャネルに強くなれるわけでもない

だから、「勝てる市場」や「効く戦術」を選び、尖らせていく。
これが、30代の事業の作り方=キャリアの磨き方。

3|40代=Originality:あなたにしか出せない価値は何か?

Specialityを突き詰めた先に現れるのが「O=オリジナリティ」。

  • 他と同じスキルでは埋もれる
  • 自分だけの見解、切り口、思想を持ち始める
  • “あの人だから任せたい”と思われるポジションへ

ビジネスで言うと、「USP(独自の強み)」を確立するフェーズです。
単なる機能や価格ではなく、「その会社にしか出せない世界観」が評価されるのと同じ。

ECでも、「最安ではないけど、ファンが離れない店」はここに到達しています。

4|50代=Personality:知識ではなく、“人間力”で勝負する

ここに来てようやく「P=パーソナリティ」。

  • 経験値・実績だけでは勝てない
  • 信頼、包容力、共感力が組織や社会を動かす
  • 「この人と仕事がしたい」で指名される存在へ

これは、会社でいえばブランド価値の構築期です。

  • 成分やスペックだけで売っていない
  • 理念、思想、世界観に惹かれて人が集まる

つまり、Pは「人の価値を“感情”で測られる」タイミング。
若い頃の“理屈の仕事”ではもう通用しない時期とも言えます。

「今、あなたはどこにいるか?」がキャリアの設計図

VSOPの本質は、「今、自分がどこにいて、次に何を積むべきか?」を示してくれる人生の指針です。

多くの人がV(行動)を飛ばしてS(専門性)を探し、O(独自性)を出せずにP(人間性)に逃げようとします。

でも順番がある。熟成工程がある。
VSOPは、「努力の順番」を間違えないためのマップです。

【ManyC的活用視点】

この理論は、個人のキャリアだけでなく、

  • 社内の人材育成
  • チームのステージ判断
  • ブランド構築フェーズ

にも応用できます。

たとえば:

  • Vしかやってない部下には「まず量をこなせ」と伝える
  • Sを見つけられないメンバーには「Vの棚卸し」を手伝う
  • Oに突入する人には「伝え方(アウトプット設計)」を仕込む

また、クライアントの成長フェーズにも置き換えられます。

  • EC立ち上げ:V(検証・試行錯誤が最重要)
  • 商材確立:S(勝てる商品に集中投資)
  • 差別化期:O(ブランディングや独自体験の設計)
  • 長期LTV構築期:P(世界観・コミュニティ・人格の構築)

【まとめ】

VSOPは、あなたのキャリアの“エイジングプロセス”である。

「今やるべきこと」を見失ったとき、
「もう疲れた」と思ったとき、
「どの道を選べばいいかわからない」とき――

このVSOPは、シンプルで、でも深い指針になります。

若い時は、何をやるかより「どれだけやるか」
中堅は「何に注ぐか」と「どう尖らせるか」
中高年は「どう届けるか」と「何を残すか」

自分という“ブランド”を、どのフェーズで、どう磨き、どう愛される存在にしていくか。
その答えが、VSOPの中にあります。

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