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「目標がないマーケティング」は、海図なき航海だ ――売上を動かす“意味のある数値目標”の立て方

「目標がないマーケティング」は、海図なき航海だ

目標がない現場のリアル──数字に「意味」が宿るEC目標設計とは?

はじめに:目標がない現場のリアル

「いま何を目指してるんですか?」

この問いに答えられない現場は、想像以上に多い。そして、目標がないということは、意思決定の軸がないということでもある。

  • 施策の成否が「感覚」で決まる
  • 毎週の会議が「報告会」で終わる
  • 数字が良ければ「なんとなく成功」
  • 悪ければ「もっとがんばろう」

そんな「船頭のいない船」は、いつしか漂流する。

実務を回している側の声:
「上から売上上げろって言われても、何をどこまでやればいいかわからない」「正直、毎月の目標が“なんとなく”なんです」

一方、経営者の本音:
「現場に任せてるが、数字の妥当性が見えない」「評価をどうつけたらいいかも曖昧になる」

これは感覚ではなく、「構造の問題」だ。

なぜ“目標”が必要なのか?

目標とは、努力と資源の向かう先。マーケティングにおいて目標が存在しないというのは、「ゲームのルールなしに点を取りに行く」ようなものだ。

目標がない現場では、以下のような“病”が蔓延する:

  • 判断基準が感覚に寄る(=社内政治が勝つ)
  • 優先順位が曖昧になり、動きが散らばる
  • 評価が曖昧で人が育たない
  • 成果が“再現”できない(成功が属人的になる)

つまり、「マーケティング=仕組み」にならない。

これはECでも同じだ。広告を回す、LPを改善する、CRMを打つ――。これらを“点”でしか見れない組織は、長期的に再現性ある成長はしない。

目標設定=意思決定のインフラを整えること

目標とは、「行動を定義するフレーム」である。

▶ ポイントはこの3つ:

  • 何のための目標か?(KGI)
  • なぜその数字なのか?(ロジック)
  • どう進捗を追うか?(KPI設計)

STEP 1|まずは“構造”から決める

マーケティングの目標設定は、単に数字を置けばいいわけではない。「売上」という結果に対し、“どのレバーで動かすのか”を整理する。

売上は分解できる:
売上 = セッション数 × CVR × 客単価 × 購入回数

ここで重要なのは、すべてに手を出さないこと。どの要素を重点的に改善するか、「一本主軸を決める」のが目標設定の本質だ。

例:

  • 既存流入が多い → CVR改善に注力
  • リピーターが育ってない → LTV向上施策に注力
  • 新規流入が頭打ち → 集客施策に集中

STEP 2|目標は「構造」→「数字」へ落とし込む

KGI(目的):
売上1.2億円(前年比+20%)

CSF(成功の鍵):
CVR改善をメインレバーに設定

KPI(行動指標):
CVR 0.6% → 0.9%(3ヶ月で)

このKPIの根拠となるのは、「あといくつ売れれば目標に届くのか?」という数字の逆算である。

SMARTの法則は“言語化力の筋トレ”

要素 意味 チェックポイント
S(Specific) 具体的か? 誰にでも伝わるか?
M(Measurable) 計測可能か? 数字で追えるか?
A(Achievable) 実現可能か? 現実的か?
R(Relevant) 方針と一貫してるか? 経営や事業目標に沿っているか?
T(Time-bound) 期限があるか? いつまで?

目標が「機能する」組織には、共通点がある

  • 目標に「背景」がある(なぜこの数字か?)
  • 行動に落とし込まれている(KPIが明確)
  • 全員が“目標に沿って考えるクセ”を持っている
  • 評価も目標起点で語られる(感情論で揉めない)

つまり、目標とは組織内の“共通言語”なのだ。

おわりに:数字を、ただの「報告資料」にしない

目標を語ることは、未来を語ることだ。

「この数字を達成したい」と言うとき、それは「この未来を実現したい」と宣言しているのと同じである。

数字は、“成長のシナリオ”を言語化したもの。そして、組織における共通のコンパスである。

ManyCの視点

ManyCでは、売上を上げるための構造だけでなく、「数字に宿る意味」まで含めて設計し、実行支援を行っています。
単に施策を打つのではなく、数字のストーリーを描き切ること。それが、目標設計の真価です。

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