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「売れる」だけでは、続かない。—–ブランディングとマーケティング、その違いと共存戦略

「売れる」だけでは、続かない。
――ブランディングとマーケティング、その違いと共存戦略

「マーケティングとブランディングって、何が違うんですか?」
この質問、コンサルの現場でもよく投げかけられます。

とくに、ECやD2C、あるいは卸と両立している企業だと、日々の売上を追うマーケティング施策と、中長期で価値を高めるブランディング活動とのバランスに悩んでいるケースが非常に多い。

結論から言えば、
マーケティングは“短期で刺す武器”、ブランディングは“長期で染み込ませる空気”です。
そしてビジネスを「続ける」ためには、その両輪をどう噛み合わせるか?が問われます。

■ マーケティング:数字を動かす“手段の科学”

マーケティングは、売上・CV・CPA・LTVなど、具体的な指標を改善するための技術設計です。

  • ペルソナ設計(誰に)
  • 価値訴求(何を)
  • タッチポイント(どこで)
  • 接触ストーリー(どうやって)
  • 計測と改善(数字で見る)

マーケティングは「売るための構造」を組むことに強い。
例えば:

  • LPをA/BテストしてCVRを上げる
  • SEOで流入キーワードを増やす
  • 広告のターゲティングを緻密に設計する

■ ブランディング:買われる理由を“空気化”する営み

一方でブランディングは、「なぜこのブランドを選びたくなるのか?」を空気レベルでつくる活動です。

ロゴやトンマナ、ビジュアルだけがブランディングではありません。

  • その商品を持っていることに“意味”がある
  • その企業と関わっていることに“納得”がある
  • それを買う自分が“好き”になれる

ブランディングが効いている状態とは、たとえば:

  • 比較されずに指名検索される
  • 商品スペックより「ストーリー」で買われる
  • 値段が高くても応援される

■ ブランディング vs マーケティング、になってしまう理由

現場ではよく、

「マーケは数字を追っていて、ブランディングは“らしさ”ばかり語っていて交わらない」

という“縄張り問題”が起きます。

なぜか?答えはシンプルです。
KPIが違うから。

  • マーケは「CVR」「CPA」「ROAS」で評価される
  • ブランディングは「指名検索」「ブランド認知」「好意度」で評価される

つまり、“見る山”が違う。
でも本来、この2つは同じ山を別ルートから登っているだけなのです。

■ 両者をつなぐ「共通ゴール」と「接続点設計」

両者を共存させるには、以下のような接続設計が必要です。

① ファネルで役割を分担する

  • ブランディング:ファネル上部(認知・好意)
  • マーケティング:ファネル中~下部(比較・購入・リピート)

例:

  • ブランドPVで「世界観」を語る
  • 指名検索でLPに誘導する
  • 初回購入で「らしさ」を体験させる

② 指名検索をモニタリングする

  • 広告してないのに指名検索が伸びる → 世界観が届いている
  • 広告強化したが指名検索が減少 → “比較”に巻き込まれた
  • SNS強化後に指名検索が増加 → 誰に届いたかが見える

■ 「ブランド=人格」である

ブランドとは、まさに“人格”に近い存在。

  • 何を信じているか(信念)
  • どう振る舞うか(言動・トンマナ)
  • どう選ばれたいか(誰に刺さりたいか)

ブランディングの本質は「選ばれる人格を社会に提示すること」
マーケティングは、それを「どう出すか?」「誰に届けるか?」の技術です。

■ ブランドがないと広告効率は落ちる

ブランディングが弱いと、広告に頼りきりで数字が伸びにくくなります。

  • 毎月広告で数字を繋いでいるが、指名検索が増えない
  • LTVが低く、継続しない

ブランディングは、「広告を安くするための投資」と捉えるべきです。

■ まとめ:マーケは“売る技術”、ブランディングは“選ばれる理由”

項目 マーケティング ブランディング
目的 売上・CV・数字の改善 信頼・選ばれる理由・“らしさ”の伝達
時間軸 短期施策(週・月単位) 中長期(年単位)
評価指標 CVR、CPA、ROAS 指名検索、好意度、SNS言及、UGCなど
役割 商品を届ける「手段」 世界観を伝える「設計思想」
接続のポイント ブランドPV → LP導線/SNS → CV導線 数値モニタリングでブランド効果を可視化

ブランドは、売上を生む“空気”。
マーケティングは、それを“風”に変える設計。

どちらかだけでは飛べない。どちらかだけでは続かない。

「売れる×続く」の真ん中に、“マーケティング×ブランディング”の共存戦略があります。

[ManyCとしての姿勢]

私たちは、数字だけを追いません。
でも、世界観だけでも終わりません。

「この商品が、なぜ、誰に、どう選ばれるか?」
その“選ばれる理由”を可視化し、売上に変える――
それが、私たちManyCが提供するブランディング×マーケティング支援です。

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