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モール型ECと自社ECの違いとは?

モール型ECと自社ECの違いとは? ――「どっちがいいのか」より、「どう使い分けるか」でEC戦略は決まる。

はじめに:この議論、もう何度目だろう?

EC業界の永遠のテーマ、それがこの問いです。

「モール型ECと自社EC、どっちがいいの?」

楽天、Amazon、Yahoo!ショッピング、Qoo10…
いわゆるモール型ECは、集客力がある。
一方で、自社ECは自由度があるし、ブランディングしやすい。

というテンプレ的な話は、もう聞き飽きた方も多いのではないでしょうか。

このコラムでは、単なる機能やメリット・デメリットではなく、
「思想」と「設計思想の違い」を軸に、
モールと自社ECの違いを“構造化”して読み解いていきます。

モールECと自社ECの違いは、ただの場所の違いじゃない

項目 モール型EC 自社EC
楽天・Amazon・Yahoo!など Shopify・カラーミー・makeshopなど
集客 モールが担う(検索・ランキング) 自社で集める(広告・SNS・SEO)
デザイン モールルールに準拠 自由に設計可能
顧客データ 一部制限あり(モールが保有) フルに取得・活用可能
成果の見え方 “売上が立つ”が早い “ファンが育つ”が後から効く
構造の本質 流通構造への最適化 関係性構造への最適化

1. モール型ECは「購買欲の戦場」

楽天やAmazonには、すでに“買う気満々のユーザー”が集まっています。
つまりモールは、「今ほしい人が集まっている場所」です。

ユーザーの検索意図も明確です。

  • 安くて評価がいいやつどれ?
  • レビュー1,000件以上あるなら安心
  • 最短で届くところがいい

モール=“買いたい人の比較会場”

検索上位、価格、レビュー数、クーポン、即納…あらゆる要素が“比較される前提”で設計された空間。

「信頼の数値化」と「選ばれる論理性」で勝負する場なのです。

2. 自社ECは「意味の世界観に共鳴してもらう場」

一方で、自社ECは“買う気がある人”が最初から来るとは限りません。

  • なんとなく見ている
  • SNSで知って覗いてみた
  • ブログ経由で初接触

つまり、自社ECは「関係性が始まる入り口」

商品よりも、世界観・言葉・意図・一貫性が重要になります。

「売る場」ではなく、「選ばれる理由を体感させる場」が自社ECなのです。

3. 比較するとわかる、マーケティングの思考回路の違い

項目 モール型EC 自社EC
重視するもの 検索対策/CVR最適化/価格訴求 世界観設計/関係性設計/ブランド体験
思考軸 どう買ってもらうか? なぜ選ばれるのか?
顧客像 今すぐ買いたい“比較者” じわじわ気になる“共鳴者”
攻め方 スピード/最適化/回転率 深度/解像度/感情設計

この違いを理解すれば、「モールがダメ」「自社ECが弱い」といった議論がいかに表面的かわかります。

4. では、どちらをどう使うべきか?

モールは、「広げる場所」

  • 幅広く露出し、“今ほしい人”と出会う
  • 単品型や比較購買の商材に向いている
  • 広告と物流の最適化が成果に直結する

自社ECは、「育てる場所」

  • ブランドの魅力をストーリーで伝える
  • ファンを育て、LTVとUGCを生む
  • CRM・SEO・SNSと連携し、関係を継続化

5. 面白くするなら「両方をどう接続するか?」

「どっちか」ではなく、「どうつなげるか?」こそが戦略です。

  • モール人気商品 → 自社ECで限定セット
  • モール購入者に、自社EC限定クーポンを同梱
  • SNS→自社ECに誘導し、価格訴求は楽天で展開

動線設計と情報設計で、両者の役割を分けて併用するのがグロースの王道です。

ManyCの視点

私たちは、モールを「売上をつくる場所」、
自社ECを「関係性をつくる場所」と捉えています。

でも、これは優劣ではなく、役割の違いです。

大切なのは、「どこで出会い、どこで育ち、どこで語られるか?」を設計すること。

ECとは、販売と同時に「関係性の設計」です。

その関係が深く、積み重なれば、
「また買われる」「シェアされる」「育てられる」ブランドへと進化します。

まとめ:「どっちが正解?」ではなく、「どう活かすか?」

モール=広げる
自社EC=深める

売上をつくるだけでなく、ブランドを育てていく。
そのために、両方を戦略的に使い分ける思考こそが、これからのECに必要です。

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