
EC業界の永遠のテーマ、それがこの問いです。
「モール型ECと自社EC、どっちがいいの?」
楽天、Amazon、Yahoo!ショッピング、Qoo10…
いわゆるモール型ECは、集客力がある。
一方で、自社ECは自由度があるし、ブランディングしやすい。
というテンプレ的な話は、もう聞き飽きた方も多いのではないでしょうか。
このコラムでは、単なる機能やメリット・デメリットではなく、
「思想」と「設計思想の違い」を軸に、
モールと自社ECの違いを“構造化”して読み解いていきます。
項目 | モール型EC | 自社EC |
---|---|---|
例 | 楽天・Amazon・Yahoo!など | Shopify・カラーミー・makeshopなど |
集客 | モールが担う(検索・ランキング) | 自社で集める(広告・SNS・SEO) |
デザイン | モールルールに準拠 | 自由に設計可能 |
顧客データ | 一部制限あり(モールが保有) | フルに取得・活用可能 |
成果の見え方 | “売上が立つ”が早い | “ファンが育つ”が後から効く |
構造の本質 | 流通構造への最適化 | 関係性構造への最適化 |
楽天やAmazonには、すでに“買う気満々のユーザー”が集まっています。
つまりモールは、「今ほしい人が集まっている場所」です。
ユーザーの検索意図も明確です。
モール=“買いたい人の比較会場”
検索上位、価格、レビュー数、クーポン、即納…あらゆる要素が“比較される前提”で設計された空間。
「信頼の数値化」と「選ばれる論理性」で勝負する場なのです。
一方で、自社ECは“買う気がある人”が最初から来るとは限りません。
つまり、自社ECは「関係性が始まる入り口」。
商品よりも、世界観・言葉・意図・一貫性が重要になります。
「売る場」ではなく、「選ばれる理由を体感させる場」が自社ECなのです。
項目 | モール型EC | 自社EC |
---|---|---|
重視するもの | 検索対策/CVR最適化/価格訴求 | 世界観設計/関係性設計/ブランド体験 |
思考軸 | どう買ってもらうか? | なぜ選ばれるのか? |
顧客像 | 今すぐ買いたい“比較者” | じわじわ気になる“共鳴者” |
攻め方 | スピード/最適化/回転率 | 深度/解像度/感情設計 |
この違いを理解すれば、「モールがダメ」「自社ECが弱い」といった議論がいかに表面的かわかります。
モールは、「広げる場所」
自社ECは、「育てる場所」
「どっちか」ではなく、「どうつなげるか?」こそが戦略です。
動線設計と情報設計で、両者の役割を分けて併用するのがグロースの王道です。
私たちは、モールを「売上をつくる場所」、
自社ECを「関係性をつくる場所」と捉えています。
でも、これは優劣ではなく、役割の違いです。
大切なのは、「どこで出会い、どこで育ち、どこで語られるか?」を設計すること。
ECとは、販売と同時に「関係性の設計」です。
その関係が深く、積み重なれば、
「また買われる」「シェアされる」「育てられる」ブランドへと進化します。
モール=広げる
自社EC=深める
売上をつくるだけでなく、ブランドを育てていく。
そのために、両方を戦略的に使い分ける思考こそが、これからのECに必要です。
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