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UIとは、“関係性の第一印象”である ――ボタンの配置より、“見られ方”の設計がCVRを変える

UIとは、“関係性の第一印象”である ――ボタンの配置より、“見られ方”の設計がCVRを変える

【はじめに】UIとは、“無言の関係性”を設計すること

「UI(ユーザーインターフェース)」と聞くと、多くの人がこう答えます。

  • ボタンの配置?
  • サイトやアプリの見た目?
  • UX(ユーザー体験)とは違うんだっけ?

いずれも正解。だけど、足りません。

このコラムでは、UIを「ブランドとユーザーの無言の関係性」という視点から読み解き、
色や配置ではなく、“構造と心理”をどう設計するか?を掘り下げていきます。

1. UIは“触れる前から始まっている”

UIは「使いやすさ」や「視覚的な整理」として語られがちですが、実はもっと根本的な役割があります。

それは、“このブランドに近づいてみようと思えるかどうか”を判断させる、最初のフィルターであるということ。

つまり、UIとは「ユーザーとの関係性の第一印象」なのです。

  • ゴチャっとした画面
  • 説明がないままCTAを押させる構造
  • 押してもどこに行くかわからない導線

これらはすべて、“距離感のミス”です。ユーザーにとって、「近づきたくない存在」に見えてしまう。

逆に、UIがよく設計されていると、
「このサイト、なんか信用できる」という直感的信頼が生まれます。

2. 「使いやすさ」より「わかりやすさ」が先

UXとUIを混同しているとよくあるのが、「使いやすくすれば売れる」という思い込みです。

でも、真実はこうです:
ユーザーは、“使いやすい”より“わかりやすい”を求めている。

「わかりやすい」とは:

  • 今どこにいるかが分かる
  • これを押すとどうなるかが見える
  • 自分の状況に合ったナビがある

つまり、「予測できる構造」のこと。

UIの本質は、「行動の促進」ではなく、
「迷わない状況」の設計です。

3. UIとは“見られ方のデザイン”である

ここが、ManyCとして最も伝えたいポイントです。

UIとは、見た目のことではなく、“見られ方のこと”です。

このブランドは、私のことをどう見ているのか?
私は、このブランドにとってどういう存在として扱われているのか?

ユーザーは無意識にこういった“関係性のメッセージ”を読み取っています。

だから、UIとは「誰に、どういう姿勢で接しているか?」を設計すること。
単なる配置や色ではなく、態度の可視化なのです。

4. 実例:UI改善で売上が2倍になったD2Cの話

ManyCで支援した、ある生活雑貨D2Cブランド。LPのUIをフルリニューアルしたことで、CVRが1.9倍に。

実際にやったのは、意外にもシンプル:

  • 情報を「スペック」ではなく「悩み別」に並べ替え
  • CTAボタンを押す“心理的ブレーキ”を排除(タイミング/文言/余白)
  • 画面全体に“リズム”をつけ、読み進めやすく

ユーザーは「読みやすい」「自然に選べた」と感じて購入していた。

見た目ではなく、“流れと納得の構造”を設計した結果、行動が変わったということです。

5. 独自視点:UIチェックリスト(実務でも使える)

以下は、ManyCがUI改善を行う際に確認する5つのポイントです👇

チェック項目 視点
1. ここは誰に向けて、どんな距離感で話している画面か? UIは“態度”を持つ
2. 次の行動が「予測できる構造」になっているか? 押すことが安心か?
3. 「このブランドらしさ」がUIに現れているか? 無個性=無関心に見える
4. 説明・補足・誘導が“押しすぎて”いないか? 強引さは離脱要因
5. 初見ユーザーに「思考の余白」があるか? 全部を言わないことが信頼につながる

6. UIの未来は「人格化」に向かっている

Chatbot、パーソナライズ、ナビゲーションの自動最適化――

UIはこれから、「操作されるもの」から「会話される存在」へと変わっていきます。

ユーザーは、もう“最短で買える”だけでは満足しません。

「このブランドと相性がいい」
「ここは分かってくれている」
「押してみたくなる雰囲気がある」

そんな“感覚的な好意”が生まれるUIこそが、次世代の勝者です。

【まとめ】UIとは、関係性の入口である

UIとは、「どう見せるか」ではなく、「どう見られたいか」を先に決めるものです。

そしてその見られ方は、以下のような構造的に設計できる“無言の態度”に表れます。

  • ページの空気感
  • 配置の“間”
  • 誘導の自然さ
  • 視線の導き方

【ManyCの視点】

私たちManyCは、UIを「画面の整理」ではなく、「関係性の初期設計」として捉えています。

売れるページとは、信頼されるページであり、
信頼されるページとは、“ちゃんと見てくれている”と感じられる空気を持つページです。

UIは、言葉を使わずに「私たちはあなたのことを考えている」と伝える表現技術。
それを構造と意図で支援するのが、私たちの役割です。

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